現物と不動産投資信託の違い
簡単に比較
よく比較されるのが「不動産投資信託(以下リート)と現物の不動産投資ってどう違うの?」という点。
しかしリートと不動産投資は、どちらが優れているのかは一概に言えず、投資する人の資産状況によって有利な対象は変わってきます。
個別の不動産に投資する場合、確かに上級者になれば10%以上の高利回りを実現することも可能です。
しかし不動産情報というのは、地域の不動産屋が独占しており、極めて情報がクローズ(閉鎖的)な世界です。素人が高利回り物件を探そうとしても、中々実現できないどころか逆に問題物件を掴まされるなど、不動産屋にカモにされる危険性が高いです。
しかも個別の不動産は一件辺り安くても数百万円、通常は数千万円の資金が必要です。確かに銀行からの借り入れで賄える点では資金効率は良いですが、物件の分散が出来ないために極めてハイリスクだと言えます。火災や地震のリスクは保険で保証できるとしても、人為的な問題へのリスクは補填できません。
例えば購入物件の側に暴力団や怪しい宗教団体などが引っ越してきたり、あるいは部屋で殺人事件が出たりすれば、その物件は誰も借り手が付かなくなるでしょう。こうなれば、数百万円がパーになります。
しかしリートなら個別銘柄で10万円程度から、リートの投資信託なら1万円程度から購入できて、しかもそれだけ少額にも関わらず数多くの物件に分散投資できる点がメリットです。利回りは5~6%程度のケースが多いですが、リスクの低さや情報入手の容易さなどを考えれば、普通の人の投資対象としては、圧倒的にリートの方がメリットが大きいといえるでしょう。
現物には節税という、リートにはないメリット
それでも現物の不動産投資には一つだけ、リートにはない圧倒的な優位点があります。
それは、不動産所得は給与所得と損益通算できるため、場合によっては大幅な節税が可能なことです。商業用不動産には「減価償却費」を計上できるため、巧く回せばキャッシュフローはプラスなのに帳簿上は赤字(=給与所得との損益通算で税金を減らせる)状況すら作り出せるのです。
かつて世界一の資産家に登り詰めた堤義明や「金持ち父さん」シリーズで名を上げた現代の不動産王=ロバート・キヨサキらは、不動産投資を繰り返して給与所得と損益通算をして、節税によって圧倒的なキャッシュフローを生み出して財をなし得ました。
つまり、非常に高度な知識と経験があれば、不動産投資は実際の物件からの利回り以上に大きな利益(税金を払わないこと)を生むことが可能なのです。
但し節税はあくまで上級者向けの方法であり、知識のない素人がいきなり不動産投資を行うのは、やはりリスクが高い行為です。