不動産投資にかかる税金
不動産所得は「総合課税」
不動産賃貸によって得た所得は「不動産所得」として、課税の対象になります。これは、他の所得(サラリーマンの場合は「給与所得」)と合わせて課税される「総合課税」です。
上場株式を売ったような場合は、「売買益の10%(平成21年からは20%)」と、他の所得に関係なく一律に決まります(分離課税)が、不動産所得の場合、他の所得と合算した「総所得金額」に対して、税額を計算します。
なお、「所得」とは、収入金額ではありません。収入金額から必要経費を差し引いたのが「所得」です。
不動産所得の場合、「必要経費が家賃収入より多い」すなわち「所得がマイナス」ということもありえます。給与所得が400万円で、不動産所得がマイナス100万円であれば、合算した「300万円」に対して税金が課せられるわけです。
累進課税なので、税率は所得金額によって異なる
所得税は、累進課税と言って、「所得が高くなるほど税率も高くなる」構造になっています。
したがって、税率も所得金額によって変わってきます。
年収800万円のサラリーマンが、不動産投資をしたケースを想定してみましょう。
家賃収入は600万円、管理費や支払利息などの経費が500万円とします。
まず、「給与収入」が800万円あるわけですが、これについても「必要経費」が認められます。ただ、サラリーマンの必要経費は算定が困難なので、「給与所得控除」という形で、一義的に決まります。
収入800万円の場合は、
800万円×10%+120万円=200万円
が必要経費です。必要経費を差し引いた「給与所得」は600万円です。
「不動産所得」は、
600万円-500万円=100万円
ですので、合算した「総所得金額」は700万円です。
ここから、基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除などを差し引きます。これら所得控除が200万円とすると、
「課税所得金額」は
700万円-200万円=500万円
となります。
この500万円に税率を適用すると、
5,000,000円×30%-427,500円=1,072,500円
です。
もし、不動産投資を行わなかったら、課税所得金額が400万円なので、
4,000,000円×30%-427,500円=772,500円
が税額になります。加わった不動産所得100万円に対し、税額が30万円増えましたので、30%が課税された格好になっています。