不動産鑑定上の収入・費用項目
収入項目
まず、分かりやすいところで賃料・共益費・水道光熱費・駐車場収入が有ります。これは文字通りです。
次に、看板使用料・アンテナや自販機の設置使用料・礼金等(テナントに対し返済不要な一時金)をその他収入として把握します。
そして、これらから空室等損失・貸し倒れ損失を差し引いたものが、不動産鑑定評価上の『運営収益』となります。
費用項目
費用項目は結構複雑で、
・維持管理費(清掃・警備・保守・点検等の費用)
・水道光熱費
・修繕費(経常的な修繕費で、原状回復費用も含む)
・PMフィー(物件管理の外注費)
・テナント募集費用
・公租公課(固定資産税及び都市計画税)
・損害保険料(火災保険料・賠償責任保険料)
・その他費用(支払地代・道路専用使用料等)
があり、これらの合計が『運営費用』と呼ばれます。
そして、上記の『運営収益』から『運営費用』を引いたものが、『運営純収益(NOI、ネット・オペレーティング・インカム)』になります。
その他
更に、この『運営純収益(NOI)』に、敷金等(預り金的な性格の一時金)の運用益を加算し、資本的支出(建物・設備の価値を高めたり、耐久性を増すこととなるような修繕関連費用)を控除することで、不動産鑑定上の収益(純収益・NCF・ネットキャッシュ・フロー)となります。
補足
以上が収支項目で、鑑定の世界ではNCF・金融や投資の世界ではNOIが使われることが多いですが(⇒参照:利回りの種類と注意点)、NCF・NOIの世界は、いずれも不動産自体の価値を図るためのものです。
但し、投資家の方が、自分の事業のパフォーマンスを図る場合には、所得税等も考慮する必要がありますし、減価償却費や元利返済金等も含めた収支検討が必要になります。
このように、異なる目線が混在する不動産の収支項目は、慣れないと頭が混乱してしまいますが、一度はじっくり検討し、イメージを持っていただくのが良いかと思います。